問218・219(生物・実務)
76歳女性。夫と息子との3人暮らし。
高血圧症、てんかん、統合失調症及び不眠症の治療を行っている。
処方1~3は、以下の時系列記録の1年前から継続している。
(処方1)
アジルサルタン錠40mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 朝食後 28日分
(処方2)
バルプロ酸Na徐放錠100mg 1回1錠(1日2錠)
リスペリドン口腔内崩壊錠1mg 1回1錠(1日2錠)
1日2回 朝夕食後 28日分
(処方3)
ラメルテオン錠8mg 1回1錠(1日1錠)
レンボレキサント錠2.5mg 1回1錠(1日1錠)
1日1回 就寝前 28日分
7月4日(かかりつけ医受診後来局):
処方1~3継続、eGFR 56mL/min/1.73m2
8月1日(かかりつけ医受診後来局):
処方1~3継続、eGFR 32mL/min/1.73m2
家族「腎臓の精密検査のために、かかりつけの先生が、大学病院の腎臓内科の外来受診を予約してくれました。8月8日に本人を連れていきます。」
8月4日(家族から薬局へ電話相談、及び薬剤師から医師への確認):
家族「前回受診時にかかりつけの先生に伝え忘れましたが、よだれが出るようになったり、顔の表情が無くなったり、歩行が遅くなったりすることが7月中旬ぐらいから目立ってきました。」
かかりつけ医師「随意運動は問題ありませんでした。薬の副作用ですね。」
問218(実務)
8月4日に医師から指摘のあった副作用の原因薬物として、可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。
1.アジルサルタン
2.バルプロ酸ナトリウム
3.リスペリドン
4.ラメルテオン
5.レンボレキサント
問218の解説
1.「×」アジルサルタン(アジルバⓇ):AT1受容体遮断薬
2.「×」バルプロ酸ナトリウム(デパケンⓇ・セレニカⓇ):GABAトランスアミナーゼ阻害薬
3.「〇」リスペリドン(リスパダールⓇ):セロトニン・ドパミン拮抗薬(SDA)
8月4日の家族のコメントで、よだれが出るようになったり、顔の表情が無くなったり(仮面様顔貌)、歩行が遅くなったりする(動作緩慢)とあり、医師が、随意運動は問題ありませんと言っているので、薬剤性のパーキンソン症候群(錐体外路症状)を疑います。
eGFRが、56(7月4日)→32(8月1日)となっているので、腎機能低下による、リスペリドンの薬剤性パーキンソニズムを考えます。
4.「×」ラメルテオン(ロゼレムⓇ):メラトニン受容体作動薬
5.「×」レンボレキサント(デエビゴⓇ):オレキシン受容体遮断薬
問218の解答:3
問219(生物)
この副作用と同じ症状が現れる可能性が最も高いのはどれか。1つ選べ。
1.大脳皮質運動野の障害
2.大脳辺縁系の障害
3.大脳基底核の障害
4.視床下部の障害
5.皮質脊髄路の障害
問219の解説
1.「×」
2.「×」
3.「〇」大脳基底核に存在する黒質緻密部の神経細胞が減少して、ドーパミンが不足すると、パーキンソン症状が出現します。
4.「×」
5.「×」
問219の解答:3