問314-315
64歳男性。数年前からパーキンソン病と不眠症の治療を行っている。
転居に伴い、家族に伴われて以下の処方箋を持ってこの薬局を初めて訪れた。
(処方1)
レボドパ250mg・カルビドパ配合錠
1回1錠(1日3錠)1日3回 朝昼夕食後 28日分
(処方2)セレギリン塩酸塩錠2.5mg
1回1錠(1日2錠)1日2回 朝昼食後 28日分
(処方3)エスゾピクロン錠1mg
1回1錠(1日1錠)1日1回 就寝前 28日分
問314(実務)
この患者への服薬指導として、適切なのはどれか。2つ選べ。
1.服用を続けているうちに急に動けなくなるなど、薬の効果が短く感じることがあれば申し出てください。
2.処方1の薬は、飲み忘れに気が付いた場合、次回服用時に2回分を1度に服用してください。
3.処方1の薬は、服用することにより尿の色が濃くなることがあります。
4.処方2の薬を服用して、眠気が出た場合はすぐに服用を中止してください。
5.処方3の薬を服用して、苦みを感じた場合はすぐに服用を中止してください。
問314の解説
1.「〇」パーキンソン病患者さんが、レボドパ製剤を長期間服用していると、レボドパの効果時間が短くなり、急に動けなくなるなどのパーキンソン病の症状がでてしまうことをwearing off現象といいます。
2.「×」2回分を1度に服用することはありません。
3.「〇」レボドパ・カルビドパ(ネオドパストンⓇ・ドパコールⓇ・メネシットⓇ)
レボドパ代謝物が尿の色を濃く(黒く)します。
色 | 薬剤名 |
黒色 | レボドパ |
橙黄色 | カルバゾクロム(アドナⓇ) |
橙赤色 | リファンピシン(リファジンⓇ) |
赤色 | セフジニル(セフゾンⓇ)・チペピジン(アスベリンⓇ) |
黄褐色~赤色 | センノシド(プルゼニドⓇ) |
4.「×」セレギリン(エフピーⓇ):MAO−B阻害薬(ドパミン分解を阻害)
セレギリンの副作用では、薬効的に眠気よりも幻覚や興奮の方が多く、眠気が出ても服用を中止する必要はありません。
5.「×」エスゾピクロン(ルネスタⓇ):不眠症治療薬
エスゾピクロンは、ゾピクロン(アモバンⓇ)で問題となっていた、苦みの副作用を軽減した薬です。(※ゾピクロンは唾液中に排泄され、苦味を感じます)
苦みを感じても、すぐに服用中止する必要はありません。
問314の解答:1と3
問315(法規・制度・倫理)
この患者が、1週間程度の海外旅行に行くことになった。
現在処方されている医薬品を海外に持って行くことについて相談を受けた。
海外に持って行くにあたり、地方厚生局長に携帯輸出許可の申請を行わなければならないのはどれか。1つ選べ。
なお、地方厚生局長は厚生労働大臣から権限が委任されているものとする。
1.処方1から処方3のすべての医薬品
2.処方1の医薬品
3.処方2の医薬品
4.処方3の医薬品
5.処方1から処方3のすべての医薬品について申請不要
医療用麻薬・覚醒剤原料を疾病治療のために服用中の方が、医療用麻薬・覚醒剤原料を持って海外旅行へ行く場合には、事前に地方厚生局長に携帯輸出許可申請が必要です。
(※覚醒剤原料の携帯輸出許可申請が可能となったのは、令和2年4月1日からです。)
1.「×」
2.「×」レボドパ・カルビドパ(ネオドパストンⓇ・ドパコールⓇ・メネシットⓇ):処方箋医薬品
3.「〇」セレギリン(エフピーⓇ):覚醒剤原料・劇薬
4.「×」エスゾピクロン(ルネスタⓇ):処方箋医薬品
5.「×」